どうしてこんなことになったのだろう、と未だに考え込んでしまう。
何の話かって、合同誌『勝てない相手はもういない』のお題設定の経緯である。
私の無謀な釣り(※
アヤキリュウの回想1参照)が予想外の成果を挙げ、たつみさんと合同サークルとしてText-Revolutions(以下「テキレボ」という。)に参加することになったまでは完璧に私の計画通りだったはずである。
それなのに! 2014年12月8日、風向きが変わったのだ。
無事に当日のスペースをお任せできる頼もしいパートナーを得た私が、さあ、張り切ってテキレボに申し込もうと試みたのは、その前夜、12月7日のことである。
Plug!のシステムに登録し、テキレボの参加申込画面にたどり着いた私は、ジャンル選択やサークル紹介文などを埋めるのに、再度たつみさんと相談せねばならないことに気付き、8日の朝、TwitterでDMを送った。その返事はすぐに来た。加えて、せっかく合同サークルとして「なまけもの亭」というスペシャルなサークル名まで付けて参加するのだから、「なまけもの亭」名義の合同誌を作りましょう! という趣旨の有り難いお申し出をたつみさんから頂いた!
私としては、大歓迎な話である。もとより、私も御一緒記念のペーパーなどを一緒に作りたいと思っていたのである。ペーパーどころか本で御一緒していただけるなんて! 願ったり叶ったりと言うものだ!
そう、ここまでは何も問題がなかった。そういう旨の返信をお昼に返し、夜には、再びたつみさんからDMが届いた。
合同誌の内容は、参加申込時のジャンル選択に合わせて「ファンタジー」にすること、新作を書き下ろすのにお題があると書きやすい、という話になった。では、どんなお題がいいか……。当然の流れである。
アヤキリュウ:お題…そうですね、統一感の出る共通お題か、お互いにお題を出し合うか…。←とんでもお題でたつみさんを驚かせようとかちょっと思った(笑) どんな感じがいいですかねー、お題。
たつみさん:お題は統一がいいかなと。自分で言っといて何ですが、はっきりとは浮かんでませんw 「空」は以前の覆面であったのでしたっけ? あと「水」か……。単語じゃなくて言葉にしてもっと限定的にしても良い感じでしょうか(・ω・) びっくりするお題でも頑張りますよ〜(笑)。
アヤキリュウ:お題…覆面は、花、星、空、道、色、火…水はまだないですが、個人的に水を含むお題で三作ほど書いたことはあり…まだ捻り出せるかな。(笑)
まぁ、何にしても話は捻り出すのですが。(^_^;) 何か二人に共通な言葉とかあればいいですよね。
双方の名前から(たつみさんの「暁」)なんて素敵ねーと思ったのですが、私の名前がカタカナ…だから。(苦笑)
あえて漢字を当てるなら「流」かなぁ。(笑) 暁…流…暁の…流星…暁の流行…語大賞?(え)
そうだ、今年の流行語からと言うのはどうですか!?(無理)
たぶん、この一言が私の人生最大の失言だったのだ。
この時、私の頭にあった流行語は、2014年の『現代用語の基礎知識選 ユーキャン新語・流行語大賞』で年間大賞に輝いた「集団的自衛権」と「ダメよ〜ダメダメ」であり、言わずもがな、ファンタジー小説のお題にはどう考えてもふさわしくない。だから、「今年の流行語から」などと言うのは完全に冗談だったのである! どちらかと言えば、その直前の「暁の流星」の方がファンタジー的に使えそうなお題であった。
が、これがたつみさんの下で思わぬ方向に転がったのである。
たつみさん:お題は流行語……!? すいません私そういの疎いんで今ぐぐってきたんですが、使えそうなのって、「ありのままで」「ごきげんよう」「壁ドン」「レジェンド」ですかね!? いや壁ドンでどうやってファンタジーをwww
全くその通りなので、ここで冗談ですよーと即座に返せれば良かったのだが、残念ながら、すぐに次のDMが。
たつみさん:まとめ見てたんですが、ノミネートに残っていたという錦織選手の「勝てない相手はもういない」も面白そうですね〜(´∀`*)(と自らの首を締めにかかる)
たつみさんが、大賞受賞語ではなく、ノミネート語を発見されてしまった!
いや、でも、確かに「勝てない相手はもういない」は何か小説的に使えそうな気がする……? いや、でも、なんかこういう自信満々なコメントって、私の書くキャラで言う奴いるのかな? いない……気がする。たぶん、これは私単独では絶対に書かないパターンだ!
アヤキリュウ:流行語…私も大賞の二つ(集団的自衛権とダメよ〜ダメダメ)しか知らず、そこは完全に冗談でしかなかったのですが(笑)、確かに「勝てない相手はもういない」は面白そうですね。自分では絶対に書かない(書けない?)感じ。(笑)
興味がなかったのかと言えば嘘になる。自分では絶対に書かない素材に、合同誌ゆえ挑戦する……素晴らしいことだ。だが、書けるのか、大丈夫なのか……という不安はとても強く、「(書けない?)」などと入れたのはそのせいである。
そんな私の複雑な心境を知ってかしらず、たつみさんは果敢にも宣言された。
たつみさん:では首絞めにかかりますか!?(笑) 「勝てない相手はもういない」でよろしいでしょうか……? ファンタジーで!w
そう振られて乗らないわけにはいかないではないか!
アヤキリュウ:わーっ、マジですか!? まさか、ただの冗談がこんな展開を生むとは…人生最大の失言だったかも。(笑)
しかしまぁ、受けて立ちましょう! ファンタジーで!(笑)
……とまあ、そういう次第なのである。
しかもこれ、現代物のスポーツものなどではなく、テキレボにファンタジージャンルで参加する者として、ファンタジーな小説に仕上げなくてはならない。
自分の引き出しにないキャラで、なんかスポーツものっぽい台詞を、ファンタジー小説に……できんの?
しかも今回、この合同誌は業者製本で仕上げられる予定なのである。原稿仕上がりがギリギリ前日でも徹夜で何とかなるコピー本とは違うのである。
原稿期限は一月半ば。あと、一ヶ月少々である。間に合うのか……? いや、間に合わせなくてはならない。何しろこれは、私一人の本ではないのである。たつみさんとの記念すべき合同誌なのである!
うぐぐ……ここで、負けるわけにはいかない! 合同誌のお題の通り、本気になった私に、「勝てない相手はもういない」のだ!
そんな具合で、スペシャルな合同誌の発行を楽しみにして頂ければ幸いです。頑張るよ!
たつみさんとのDMのやり取りを終え、お題と向き合った12月8日深夜の アヤキリュウ 拝