ここち

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逢魔が時


(1)

あとがき

 2000hitの桐リクのための習作。あくまでも、習作。
 というのも、リクエスト頂いたお題「水、夜空、庭」のうち、「水」と「夜空」の使い方が甘い(というか使えてない)からです。
 石庭における白砂に描かれる流線模様というのは水をイメージしたものとされていて、それでもって「水」を消化している……という説明は苦しいという自覚はあるのです。「夜空」も夕焼けって夜空……? という疑問符を付さずにはいられません。
 桐リクを頂いた時の一番最初のイメージは、主人公が庭(普通の一般家庭の庭)に水を撒いていて、その水が刺すように冷たくて、そこに人ならぬ美しいものが現れて……という和風ファンタジーでした。希望する雰囲気について「やわらかなイメージ」とコメント頂いたものの、「それとは違うものを期待」しているとのことだったので、ほのぼの系ではなく、清らかな水の流れのように美しくて冷たい凛とした雰囲気を……と考えていたのですが、色々こねくり回しているうちに最初のイメージとは少々違うものに。
 当初のイメージ通り、本作でも、流線模様ではない具体的な「水」を出そうという試みはしたのですが、結局、文章の流れを重視して割愛。その時点で、お題無視決定=ボツ確定だったのですが、せっかくなので、本命の桐リク作品をお気に召して頂けなかった場合の保険を兼ね、習作として公開することにしました。(せこい)
 しかし、お題消化うんぬん以前に、ストーリーらしいストーリーがないというのが本作の最大の問題です。昔、こういう風景描写的掌編を書くのにハマっていたことがあるのですが、しばらく続けて「これじゃあだめだ。」とやめた……はずなのに、再び同じことをしているという愚。
 まるで長編のおまけの番外編のようですが、肝心の本編がありません。本編を構成できそうなネタは全くない……こともない(ちょっと考えていて閃いた)けれど、あまりにも断片的なイメージなので、実際に書くのは難しそうです。
 ちなみに、寺の名前や小坊主の名前が「**」なのは、後で何か良い名前を考えようと仮置きしていたら、特定のイメージを想起させる漢字をあてるより、このままの方が良いような気がして来たからです。最後の新聞報道的な一文と併せて、具体的なのに抽象的という微妙な感じが出せたら良いな、と。初の試みです。
 要するに、良い名前が浮かばなかったということで。
 我ながらひどい手抜きなんじゃないかという気もしてきましたが、それなりに張り切って書いた一作で、これはこれでアリ……かなあ?(聞くな)

2011年11月22日


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