真夜中のコーヒー・ネバーランド
執筆後記
実際にコーヒーで眠れなくなる経験をし、閃いたのがこのお話です。
大雑把な閃きの核は、コーヒーを飲んで眠れなくなり、困ったことになって、もうコーヒーなんか飲まないぞ、というお話でした。
閃いた時は、UCCが募集していたコーヒー・ストーリーの公募に出せるのではないかと一瞬考えたのですが、コーヒーを飲まないことを決意するような小説をコーヒーメーカーが主催する公募に出すのは喧嘩を売るようなものだと気付いて諦めました。募集要項をきちんと確認したわけではないのですが、文章量が規定外だと思うのでどちらにせよ無茶な話です。
今回のお話のお気に入りは、孝宏のキャラクター(特に前半の裕也とのやりとり)と、裕也が「ティンカーベル?」というシーンです。
孝宏は裕也と合わせて「仲のいい兄弟」を書くのが楽しくて、「ティンカーベル?」はその台詞とシチュエーションが思い浮かんでから絶対に入れたいシーンとなっていました。
ティンカーベルは本筋とは全く関係ないのですが、ここでピーターパンが絡んできたおかげで、タイトルにもある「ネバーランド」の設定がはっきり決まったのだと思います。
最初はタイトルにも「ネバーランド」の言葉はなく、「ミッドナイト・コーヒー」と「コーヒー・ミッドナイト」のどちらかいいかと考えていました。「ネバーランド」がついて人目を引く可愛らしいタイトルなった……かな?
ただ、ネバーランドでの具体的な出来事や設定は最後までなかなか固まらなくて、自分でも妙だと思う世界ができ上がってしまいました。
最初の原稿では、コーヒーを飲んでも完全に疲れが取れるわけではなく、段々と弱って死んでしまうというようなちょっと怖い話もあったのですが、最初の兄弟のやりとりのようなほのぼのした雰囲気を重視したかったのでその部分は取り除きました。それでも最後、カフィーのキャラクターはちょっと恐ろしいことになっています。教訓話にしたかったわけでもなく、「大人は笑える子供(主人公)にとっては怖い話」を目指したのですが、さて……。
当初は30枚前後で仕上げるつもりで書き綴っていたのですが、ネバーランドのシーンが予想以上に長くなった結果、50枚を越えてしまいました。
二頁目と三頁目の区切りが突如必要となり、若干不自然なページ分割になっているかもしれません。後からページ分割に合わせて文章を修正すればよかったのですが、何となくそのままぶった切ってしまいました。
2006年1月19日