2000hitの桐リク作品のための習作、その2。
習作その1である
『逢魔が時』と同様、お題(水、夜空、庭)を使い切っていない感じがするためにボツになったものです。本命の
『郷愁』のアイディアが固まった時点で、こちらのボツは確定していたのですが、本命をお気に召して頂けなかった場合の保険として執筆することになりました。
そもそもは、同じお題で和風、洋風、現代もの、と三種類揃えたら面白そうだな、という好奇心ゆえだったのですが、本作も『逢魔が時』もお題をちゃんと使っていないのでは……という、ね。
一応、本作では小川が登場しているので、水も登場しているはずなのですが、これで「水」のお題を消化したと言うのは詐欺のような気がしてなりません。
このお話もまたストーリーらしいストーリーが展開していない疑いが濃厚なのですが、風景描写的な『逢魔が時』よりも説明的で、たぶん、
覆面作家企画5に提出した作品に近いのではないかと思われます。細かい知識や設定を作中にこそこそ放り込むのが好きです。
この作品に関しては、その気になればもう少しちゃんとしたストーリー展開ができるのではないかと思い、公開を躊躇いもしたのですが、いずれ近いうちに全面改稿して……なんて言うとそのうちに熱が冷めてお蔵入りになるんじゃないかという不安もあり、『逢魔が時』や『郷愁』とセットで更新したいなあということで、思い切ってみました。
……思い切り過ぎたかもしれない。
英国ヴィクトリア朝が舞台ということで、時代考証に関してはお詳しい方から突っ込みを食らいそうですが、苦心しつつも楽しく書くことができました。あくまでもフィクションですので虚実入り交じっているのはもちろんですが、もう少し史実と虚構を分かりやすく分断すべきだったんじゃないかという気もしています。ヴィクトリア朝に舞台を据えたからには可能な限りそれっぽく……と試みたものの、それが成功しているのかどうかは怪しいところです。
このお話は、最初に最後の四文が決まり、そこに向かって書き進めていました。少々強引にハンドルを切ったような気が……していないわけではないんです。暇ができたら再構成……しないだろうなあと思ったから、こうして思い切ったのだけれど。