ここち

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うさぎとわたし


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執筆後記

 このお話は、あとがきを書かない方が良いお話なのかもしれません。
 今回やや特異な人間関係を構築しているので、その気になれば長編一本くらい書けそうな、少なくとも番外編や続編をいくつか書けそうな設定がごろごろ転がっているのですが、それをここで語るのは野暮と言うものでしょう。しかし、特に番外編等の執筆予定があるわけでもございませんので、色々ありそうな彼らのバックグラウンドはそれぞれにご推察くださいませ。
 このお話を書こうと思った理由が「父娘を書きたかったから」なのか、「うさぎを書きたかったから」なのか、今となっては良く思い出せないのですが、私にとって「うさぎ」は父親の象徴としての意味を持つようです。その理由は単に私の父が卯年生まれだというだけなのですが、寂しがり屋のイメージがある「うさぎ」は一家の大黒柱としての強いイメージを必ずしも有しない現代のお父様方に対するイメージと重なるのかもしれません。
 作中、直接的表現は控えめにしようと心掛けたところではありますが、合理性を追求したところの非合理性、二人の父親、二つの家族の間で揺れていた「わたし」が抱えてきた矛盾とも言うべき葛藤を感じ取って頂ければ嬉しく思います。そして、ダサくてかっこわるい「お父さん」は不器用ですが、実は一枚も二枚も上手なのです。こんなところで言うのもなんですが、私、世のお父様方の復権を密かにお祈り申し上げ、頑張っているお父様方にエールを送りたいと思っております。お父さんはすごいんだぞ!
 今回、私は私の記憶にある限り初めて、主人公の一人称を「わたし」と平仮名で書きました。「うさぎ」を平仮名で書きたかったので、それに合わせて「わたし」も平仮名になったというだけなのですが、「私」と書く時とは違うキャラクターを描ければなあという意気込みの表れでもあります。今回は見事に失敗しましたが、この先の課題として書き分け力を磨いていきたいと思います。
 お読み頂きありがとうございました。

2007年5月21日


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