君は風のように
執筆後記
以前に書いたもののリメイク版です。主な変更点は前半の回想シーンなどの構成で、説明的な部分をできる限りエピソードに置き換えました。
当初は由美のキャラクターも変更する予定でしたが、結局、彼女は彼女のままの方が良いと言う判断になりました。直すのが面倒だったとかそういう理由は……ないわけではないのですが。
最初から最後までしっかり書ききった「小説」と呼べるもの、という意味ではこれが私の原点なのではないかと思います。『雨が呼ぶ』もこれ以前に書き上げていた作品のリメイクですが、長さの違いもあり、思い入れが強いのはやはりこの作品です。
タイトルの「君は風のように」には二重の意味を持たせています。「君」は梨菜にとっての祐樹であり、祐樹にとっての梨菜なのです。
このタイトルはその二重の意味がさっぱり伝わらず、家族からだめだしを食らったこともあるのですが、私にとってはやはりこれでなくてはならないタイトルです。家族のだめだしに教訓を得、今回の改稿で「祐樹にとっての梨菜」を伝えられるような過去のエピソードを増やしたのですが、やはりまだ「祐樹にとっての梨菜」の印象が弱いような気もします。しかし、エピソードを増やしすぎても焦点がぶれてしまうので(特に私の現在の実力では)、少しばかりの手掛かりから感じ取って頂ければ幸いです。
また、梨菜と祐樹(特に梨菜)の名前は、作中ハーブを扱う点から、植物に関する字を、と意識した記憶があります。
要所要所に出てくるハーブについての知識は、最初から私が持ち合わせていたものではなく、主にWEBを参照致しました。初稿時の収集資料について出典が不明なこともあり、お世話になったサイト様を一つ一つご紹介することはできませんが、お世話になった全てのサイト様に感謝しています。資料集めもとても楽しくでき、いつか私もハーブを趣味の一つに加えたいと思っているのですが……。
2006年6月16日